物体に復元力が働くとき,物体は繰り返しの運動(振動)を行います。
ここでは,最も基本的な振動現象である単振動について,微分方程式を用いた導出方法を紹介します。
- 単振動の基本的な性質
- 微分方程式を使って単振動の一般解を出す方法
単振動の運動方程式とその解
単振動は物理的な現象の1つなので,まずは運動方程式を考える必要があります。ここでは次のような系を考えます。
![](https://antorast.com/wp-content/uploads/2024/02/IMG_4830-1024x500.jpg)
- 滑らかな水平面上にばねの一端に物体をとりつけ,他端を固定する(ばね振り子)
- ばねが自然長の長さのときの物体の位置を原点にとる
- 物体の質量は \(m\)
- ばね定数は \(k \;(k>0)\)
- その他抵抗は考えない
このとき,運動方程式は加速度 \(a\) が位置の2階微分,すなわち \[a=\frac{dv}{dt}=\frac{d}{dt} \left( \frac{dx}{dt}\right)=\frac{d^2 x}{dt^2} \] であることに注意して
\[m\frac{d^2 x}{dt^2}=-kx\]
と書けます。また,定数 \(\omega_0\) を \(\displaystyle \omega_0 = \sqrt{\frac{k}{m}}\) となるようにとると上の運動方程式は
\[ \frac{d^2 x}{dt^2} =-\omega^2_0 x\]
となり,定数係数2階微分方程式になることがわかります。
![](https://antorast.com/wp-content/uploads/2024/01/a8e9e0e5587ff7f199c1861aa8b69b27-e1706372102210-150x150.png)
この微分方程式を満たす解が,単振動の変化を表す式になるわけですね
微分方程式を解く
この微分方程式を実際に解くとどうなるでしょう。
この微分方程式の特性方程式は \[\lambda^2 +\omega_0^2 =0\] であるので,これを解くと \(\lambda = \pm \omega_0 i\) (\(i\) は虚数)となり,この微分方程式は \(A_1,B_1\) を定数として
\[x(t)=A_1 \cos \omega_0 t + B_1 \sin \omega_0 t\]
と解くことができます。これが単振動の一般解である,ということがわかります。
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この過程が知りたい方はこちらをご覧ください
また \(x(t)\) を三角関数の合成式を使ってまとめると \[\begin{align} x(t) &=A_1 \cos \omega_0 t + B_1 \sin \omega_0 t \\ &= \sqrt{A_1^2+B_1^2} \cos (\omega_0 t + \phi) \\ &= A \cos (\omega_0 t + \phi) \quad (A=\sqrt{A_1^2+B_1^2}) \end{align}\] となり,これは高校物理で習った単振動の変位の式
\[x(t)=A \cos (\omega_0 t + \phi)\]
に一致することがわかります。
単振動の速度と加速度の計算
いま,時刻 \(t\) における\(x(t)\) が求まったのでこれを用いて単振動の速度と加速度の計算をしてみましょう。
単振動の速度
時刻 \(t\) における座標が \(x=x(t)=A \cos (\omega_0 t + \phi)\) で表される単振動の速度は
\[v(t)=\frac{dx}{dt}=-A \omega_0 \sin (\omega_0 t +\phi)\]
で計算できます。
単振動の加速度
単振動の加速度は
\[a=\frac{dv}{dt}=\frac{d}{dt} \left( \frac{dx}{dt}\right)=-A \omega_0^2 \cos (\omega_0 t+ \phi) = -\omega^2 x\]
と計算することが出来ます。
また,これより元の単振動の微分方程式 \[ \frac{d^2 x}{dt^2} =-\omega^2_0 x\] の形になることを確かめることも出来ます。
単振動の応用例
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