定数係数2階線形微分方程式の解き方と例題

定数係数2階線形微分方程式の解き方を紹介

定数係数2階線形微分方程式 \[\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by=0\] の解き方を例題をまとめます。

目次

定数係数2階線形微分方程式

$a,b$ を定数として \[\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by=0\] の形で表される微分方程式のことを定数係数2階線形微分方程式といいます。例えばこの微分方程式で \(a=0\) としたものが単振動の微分方程式 \[\frac{d^2 x}{dt^2}=-bx\] に相当するように,この形の微分方程式は物理や数学の様々なところで登場します。

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微分方程式の解き方

定数係数2階線形微分方程式 \[\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by=0\] を解いてみます。この形の微分方程式は大まかに次のプロセスに沿って解くことになります。

  • 特性方程式を解く
  • 特性方程式の解の符号に応じて場合分けする
  • (初期条件が与えられたならば)その初期条件を元に係数を求める

特性方程式を求める

以下に述べる方法は天下りではありますがこの微分方程式は2階微分と1階微分の和なので,解は指数関数と相性が良さそうということを考え,試しに解の形を\[y=e^{\lambda x}\] とおいて元の微分方程式に代入してみましょう。すると\[\frac{d^2 y}{dx^2}= \lambda^2 e^{\lambda x}, \quad \frac{dy}{dx}= \lambda e^{\lambda x}\] より,微分方程式は\[(\lambda^2 +a \lambda +b)e^{\lambda x}=0\] となります。これより,\(\lambda\) の2次方程式になるので,解の個数(=判別式)で場合分けして,各々について解けば一般解を求めることが出来ます。

ここで出てきた2次方程式 \[\lambda^2 +a \lambda +b=0\] をこの微分方程式における特性方程式といいます。

① \(a^2-4b>0\) のときの解

\(a^2-4b>0\) のとき,特性方程式は解を2つ持つので,これを \(\lambda_1,\lambda_2\) とします。

このとき,\(\lambda_1 \neq \lambda_2\) より元の式に代入した関数 \[y_1=e^{\lambda_1 x}, \quad y_2=e^{\lambda_2 x}\] も解になります。これより,2つの関数の線形結合 \[ \begin{align} y &=c_1 y_1 + c_2 y_2 \\ &= c_1 e^{\lambda_1 x} + c_2 e^{\lambda_2 x} \quad (c_1,c_2:\text{const})\end{align}\] が微分方程式の解になります。

② \(a^2-4b=0\) のときの解

\(a^2-4b=0\) のとき,特性方程式は重解を持つので,解は \[\lambda_1 = \lambda_2 =-\frac{a}{2} \; (\equiv \lambda_0)\] とこれを代入して得られる \(y_1= e^{\lambda_0 x}\) の1つだけとなり,解が決まりません。

ここで,もう1つの解ですがこれは \[y_2=xe^{\lambda_0 x}\] で与えられることが知られています(天下りではありますが頻出ですので覚えることをオススメします) 。

【\(y_2\) が微分方程式を満たすことの証明】
\(y_2\) を与微分方程式に代入すると \[\begin{align} &\frac{d^2 y}{dx^2}+a \frac{dy}{dx}+by =\ [(2 \lambda_0 +\lambda_0 x^2) +a (1+ \lambda_0 x)+bx]e^{\lambda_0 x} \\ &=[(2\lambda_0 +a)+(\lambda^2 +a \lambda +b)x]e^{\lambda_0 x} \\ &=0 \end{align}\] となり,確かに \(y_2\) が解であることがわかる。

これより,2つの関数の線形結合 \[y=(c_1 +c_0 x)e^{\lambda_0 x}\] は,特性方程式が重解のときの解であることがわかります。

③ \(a^2-4b<0\) のときの解

特定方程式は実数解を持ちません。このとき,解は \(i\) を虚数単位として\[\begin{align} \lambda_{1,2} &= -\frac{a}{2} \pm \frac{i}{2}\sqrt{4b-a^2} \\ &= A \pm Bi \quad (A= -\frac{a}{2}, \; B=\frac{1}{2}\sqrt{4b-a^2})\end{align}\] とすることが出来ますね。よって一般解は \[\begin{align} y &=c_1 y_1 + c_2 y_2 \\ &= c_1 e^{\lambda_1 x} + c_2 e^{\lambda_2 x} \quad (c_1,c_2:\text{const}) \\ &= c_1 e^{(A+Bi)x} +c_2 e^{(A-Bi)x} \\ &= e^{Ax}[c_1 e^{iBx}+c_2 e^{-iBx}]\end{align}\] と書くことが出来ます。ここで,オイラーの公式 \[e^{i \theta}= \cos \theta + i \sin \theta\] を代入して整理すると \[\begin{align} y &= e^{Ax}[c_1(\cos Bx + i \sin Bx)+c_2(\cos Bx – i \sin Bx)] \\ &= e^{Ax}[(c_1+c_2)\cos Bx +(c_1-c_2)i \sin Bx] \\ &=e^{Ax}(C_1 \cos Bx + C_2 \sin Bx) \quad (C_1 \equiv c_1+c_2, \; C_2 \equiv (c_1 -c_2)i)\end{align}\] となります。

例題

実際に計算してみましょう。

例題

次の微分方程式を解きなさい。

(1) \[ \frac{d^2 y}{dx^2}-9y=0 \quad (y(0)=1, \; y'(0)=-2)\]

(2) \[\frac{d^2 y}{dx^2}-4 \frac{dy}{dx}+4y=0\]

(3) \[ \frac{d^2 y}{dx^2}+2 \frac{dy}{dx}-5y=0\]

【解答】
(1) 特性方程式 \[\lambda^2 -9=0\] を解くと \(\lambda = \pm 3\) である。よって一般解は \[y=c_1e^{3x}+c_2e^{-3x}\] である。初期条件 \(y(0)=1, \; y'(0)=-2\) から \[\cases{ c_1+c_2=1\\ -3c_1-3c_2=-2 }\]これを解くと \(\displaystyle (c_1,c_2)=(\frac16,\frac56)\) 。以上より解は \[y= \frac{1}{6}e^{3x}+\frac{5}{6}e^{-3x}\]
(2) 特性方程式 \[\lambda^2 -4 \lambda +4=0\] を解くと \(\lambda=2\)(重解)である。従って一般解は \[y=(c_1+c_2x)e^{2x}\]
(3) 特性方程式 \[\lambda^2 +2 \lambda -5=0\] を解くと \(\lambda=-1 \pm \sqrt{6}i\) である。従って一般解は \[y =e^{-x}(c_1e^{\sqrt{6}ix}+c_2e^{-\sqrt{6}ix}) \] すなわち\[ y=e^{-x}(C_1 \cos \sqrt{6}x+C_2 \sin \sqrt{6} x) \]

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