当記事では名大オープンの各科目ごとの傾向や難易度,体験記(実際の成績etc)をまとめました。
前半では冠模試の概要を紹介するので名大以外の難関大学を目指す方も是非参考にしてください!
- 名大オープンの概要
- 名大オープンの各科目ごとの難易度や平均点や傾向とその対策
- A判定をとった時の各科目の点数や偏差値
名大オープンとは
名大オープンとは河合塾が主催する「名大受験生ほぼ全員が受ける,名大の二次試験を模した」試験です。
問題は,本番と比べ同レベル~やや難を想定して作られているため,問題は一般で受けるような記述模試よりも難しいです(駿台全国模試は除きますが)。
また,本試験と同様のレベルの問題を解き,採点される為,夏,秋時点での学力と本試験に必要な学力の差を知ることが出来ます。
点数配分も本試験と同様であり,同時期に開催される全統共通テスト模試とドッキング判定をすることで本番とほぼ同じな試験形式を体験することが出来ます。
名大オープンでA判定を取るための偏差値・点数目安
志望学部にもよりますがA判定をとるために必要な偏差値は大体56~60程度です。
オープン含め冠模試はそもそも「該当の難関大学を受ける受験生」しか受けないので,偏差値も当然その集団内での値が出されます。
従って,進研模試や全統記述模試といった幅広い学力帯の学生を対象にした模試とは異なり,偏差値がかなり低く出ます。
偏差値は低く出てしまいますが,A判定に必要な偏差値も低く設定されるので問題はありません
具体的には,偏差値が大体56~60程度あればA判定を得ることが出来ます(医学部医学科を除く)。
これは,名大受験生の中で上位1割~2割強の成績を取れていれば良い!ということですね。
(参考)倍率から考える必要な点数目安
名大の本試験の倍率が例年2.5~3.0倍であることを考えると,受験生内で上位4割~3割弱以上の位置にいることが出来れば合格圏内であり,オープンではこの辺りの偏差値がボーダーライン(C判定基準)に設定されています。
また,後述しますが,冠模試の各科目の平均点は約3割~4割になるように作られているので,標準偏差も考えると大体必要な点数は5割~6割弱あれば良いでしょう。
次に,オープンの各科目の傾向とその対策方法について紹介します。
- A判定を取るための必要な総合偏差値は 57~(医学科を除く)
- A判定の点数の目安は 55%~60% 以上
オープン英語の特徴と対策
名大オープン英語の特徴をまとめましょう。
- 形式は名大英語と同じ
- 難易度も本試験とほぼ同じ
- 総じて完成度は高め
名大オープンの英語は名大英語を模しているだけあって,かなり本試験に近い内容になっています。
オープン英語の特徴・難易度
問題は4問で設問構成は
- 第1問:長文読解
- 第2問:長文読解
- 第3問:会話文問題
- 第4問:グラフからの資料読み取り問題(英作文)
となっています。
長文総合問題は近年の名大英語の傾向を踏まえた
- 30~40字程度の内容説明問題
- 英文和訳
- 中文補充問題 etc
が中心に出題されます。
再現度が高く,現時点での名大英語に対する学力の到達度を測るのによく出来ているな…と思いながら当時試験を受けていました。
難易度は本試験と同じ程度ですが,近年は難化傾向にあります。
昔のオープン英語は簡単だったので,難易度を本試験に寄せに来てるのかな,感があります
平均点は例年4割~5割に落ち着いています。平均点から考えるとA判定ラインは約6割前後が妥当でしょうか。
オープン英語の対策
基本的に
・全統記述模試
・駿台・ベネッセ記述模試
…などの記述模試
と内容は似ているので,普段から英語の学習をコンスタントに進めることが最善の対策になります。
とはいえ,英作文や空欄補充問題など,名大特有の問題もある程度出題されるので,試験前に過去問を数年分目を通しておくと良いでしょう。
第3問は難易度の割に平均点が低いので,会話表現を事前に詰めておくと偏差値が稼ぎやすいです(特に夏)
あとは数セットで良いので実際に過去問は解いておくと,実際の雰囲気は掴めますし,(本来の自分の英語力)+約2~3くらいの偏差値は稼ぐことが出来ると思いますので是非目を通してみてください。
オープン数学の特徴と対策
名大オープン数学の特徴は
・形式は名大理系数学とほぼ同じ
・難易度は本試験と同じ~やや難
です。基本的に名大オープンの数学は名大数学を模しているだけあって本試験にかなり近い内容になっています。
名大オープン数学の特徴・難易度
問題は大きく4問で,年度と回によりますがおおよそ
- 微積分から1問
- 場合の数と確率(+漸化式)から1問
- 整数問題から1問
- 図形が絡んだ問題(ベクトルor複素数平面)から1問
という構成になっています。
それぞれの問題は近年の名大理系数学の傾向を反映し,重量級の問題にいくつか小問を設けることで誘導を示す形で作られています。
全体的に設定や誘導が多く問題文が長文になりがちなのが特徴です。
また,現役生の進度を考慮して夏オープンでは積分法は出ないことが多いです。
実際に解いた身としては,難易度も基本的に本試験と同じくらいになっていると感じました。
傾向として,オープンの問題は難しいですが本試験に比べて処理が煩雑な問題が多いです
平均点は回にもよりますが,大体200点満点で60~80点(3~4割)になることが多いです。
平均点が低いので,よほど数学が得意!という方でもなければ現実的なA判定ラインは約半分程度になります。
オープン数学の対策
オープン数学(名大理系数学も)の出題はだいぶクセがあるので,オープンの過去問に目を通しておいたほうが良いでしょう。
また,出題分野に偏りがあるので,特定の分野を集中的に対策するのもオープン前の対策としては有効です。
オープン数学頻出分野
- 数列絡みの論証 or 確率漸化式
- \(n\) 次多項式の複素平面上での解に図形的考察を混ぜる問題
- 不定方程式絡みの整数問題
- 微分法で示した不等式で評価するタイプの極限(夏オープン)
- 回転体の体積を求める問題(秋オープン)
オープン物理の特徴と対策
名大オープン物理の特徴を簡単にまとめましょう。
- 形式は名大物理とほぼ同じ
- 難易度は本試験と同じ~やや易
- 問題設定は標準的なものが多く,本試験とは少し傾向が異なる
名大オープン物理の特徴・難易度
問題は大問3問から構成されています。
現役生の進路を考慮して,夏の第1回オープンでは
- 第1問:力学
- 第2問:熱力学
- 第3問:熱力学・波動・力学から1問
から構成されます。
秋の第2回オープンでは全範囲が範囲となり,第2問が電磁気の総合問題となります。
難易度は本試験と同じ~やや易程度です。本試験に比べやや易ではありますが,全統記述模試よりは難しく,平均点は大体4割になります。
A判定ラインはおおよそ6割程度といったところでしょう。
名大オープン物理の対策
実際に数回分オープンの過去問も解いた身としての感想ですが,名大オープン物理は本試験に比べて問題設定が良くも悪くも素直でストレートな問題が多いです。
近年の本試験は典型問題に一捻り加えたような問題が多い傾向にある一方,名大オープンでは入試問題集に載っている標準的な設定の問題が多く,少し傾向が異なります。
本試験は衝撃波の速度を求める問題であったり,碁盤上に並んだ波源の干渉であったりと,よくわからない設定が多い印象
従って,対策としては名問の森や重要問題集といった入試問題集を一通り解けるようにしておけばある程度戦えるようになります。
勿論オープン模試の過去問に目を通しておくのは対策として間違いないですね。
オープン化学の特徴と対策
名大オープン化学の特徴を簡単にまとめましょう。
- 形式は名大化学とほぼ同じ
- 難易度は本試験と同じ~難
- 問題のクオリティが総じて高い
オープン化学の特徴・難易度
問題は
- 第1問:理論分野
- 第2問:無機分野
- 第3問:有機分野(有機化合物,高分子化合物)
の大問3問で,その中に中問2問ずつ,という形の実質6問から構成されています。
問題は総じて難しいです。入試化学の中でも難しめな典型問題を中心に構成されます。
ただ,数学と違っていたずらに煩雑にしているわけではありません。模試では解けなくても本番までには解けるようにしておいた方が良い問題が沢山扱われています。
問題のクオリティは高く,実際に本番とほぼ同じ問題が出ることもそこそこな頻度であります。
化学の典型的な難問の数が少ないという事情もありますが…
平均点は回によって点数にばらつきがありますが,おおよそ4割~5割強あたりに落ち着くことが多いです。
A判定ラインは回によりますが,大体6割強あたりになるでしょうか。
オープン化学の対策
対策としては重要問題集のような入試問題集を1冊やり切ることに尽きます。
見たことないような難問が出てくるわけではなく,入試問題集の章末問題みたいな「典型的な難問」を多く出す傾向があるので,各分野を満遍なく深く学んでおくことが対策になります。
近年の傾向としては有機化合物の推定の問題が難化傾向にあるので,この分野の問題は特に新研究などで対策するのがおすすめです。
中の人のオープン結果
中の人も2022年度(夏,秋)に受けたので,その時の成績を貼っつけます。
工学部志望だったので英語,数学,物理,化学の4科目を受験しました!
第1回オープン結果
【総合成績】判定:B
科目 | 点数(各科目200点満点) | 平均点 | 偏差値 |
---|---|---|---|
英語 | 94 | 67.7 | 56.9 |
数学 | 57 | 47.6 | 54.4 |
物理 | 124 | 83.5 | 62.0 |
化学 | 70 | 65.3 | 50.3 |
総合(工学部換算) | 526/1300 |
中の人は夏に合格最低点を超えることを目標にしていたので,悔しくも届かず…でしたが別に悪くはないです。多分。
全教科,特に致命的な科目はないのですが(化学が平均点ぎりぎりは危ないかも)高い科目もなく,総じてまだ伸び代があるなといった印象です。
これから秋にかけて色々な問題を解いていけば何とかなるかな…みたいな(甘い)
第2回オープン結果
【総合成績】判定:A
科目 | 点数(各科目200点満点) | 平均点 | 偏差値 |
---|---|---|---|
英語 | 114 | 87.7 | 58.4 |
数学 | 71 | 44.4 | 62.3 |
物理 | 128 | 97.7 | 58.7 |
化学 | 108 | 72.6 | 60.7 |
総合(工学部換算) | 644/1300 |
この回も目標としていた2次試験の合格最低点(=750~800点)には全然届いていないのですが,数学の平均点が過去5年間で最低点だった(44/200)ので相対的立ち位置では比較的高い位置につくことが出来ました。
物理以外の教科は第1回夏オープンより上がっており,夏休みと秋の実戦的な問題の演習期間の頑張りが反映されたと思います。
ずば抜けて高い科目はないですが,特に低い科目もなく安定しています。
数学の点数はともかくとして,本番もこのくらいの立ち位置で落ち着くと良いなと思いました。
本番は765/1300で,名大オープンよりもだいぶ高い結果になりました
秋オープンの方が問題も採点も厳しい(特に数学)
受け終わったら
オープンの結果が返ってきたら判定に一喜一憂するもの良いですが,復習と分析を丁寧にしましょう。
模擬試験は結果が返ってきて復習するまでが本番ですからね!多分!
余談:名大生のオープンの判定事情
知り合いの名大生何人かに「模試の成績ってどうだった?」って話をした際の体感ですが,A~C判定に関しては割とどの判定の人もそれなりにいるように感じました。
特に大学入試はボーダーラインすれすれで受かる人が構造上一番多いので,そういった方の割合を考えるとこの体感はあながち間違っていないような気がしますね。
あと模試でも余裕のA判定,入試も余裕,という方は大体大学入学後も成績が良い方が多い印象があります。
友人は心優しい人が多かったので快く教えてくれましたが,こんな話は大学入学してからするもんじゃないと思う
まとめ
この記事では
- 名大オープンの概要
- 名大オープンの各科目ごとの難易度と傾向・対策
- A判定をとった時の各科目の点数や偏差値
について紹介しました。参考になれば幸いです!
コメント
コメント一覧 (1件)
2024年夏名大オープン
第3問に電気の問題が出題されました