ベルヌーイ型微分方程式 \[\frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)y^n=0\] の解き方と例題をまとめます。
ベルヌーイ型微分方程式とは
\[\frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)y^n=0\] の形で表される微分方程式のことを「ベルヌーイ型微分方程式」といいます。
例1 \[\frac{dy}{dx}+\sqrt{1+x^2}y + y^n \sin x=0 \quad (p(x)=\sqrt{1+x^2} ,\; q(x)=\sin x )\]
例2 \[\frac{dy}{dx}+\frac{y}{x}+(3x-1)y^4=0 \quad (p(x)=\frac{1}{x} ,\; q(x)=3x-1 , \; n=4 )\]
ここで \(n=0\) のとき \[\frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\] \(n=1\) のとき \[\frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)y=0\] となりこれは線形1階微分方程式になるので,ベルヌーイ型の微分方程式は通常 \(n \neq 0,1\) で考えます。
ベルヌーイ型微分方程式の解き方
ベルヌーイ型の微分方程式 \[\frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)y^n=0\] を解いてみましょう。この方程式は通常 \(z=y^{1-n}\) という変数変換を用いて解くことが出来ます。
上手く変数変換をすることによって \(y^n\) を消したい,という目的意識があります
変数変換して元の式に代入する
\(z=y^{1-n}\) の変数変換をするとき,\(\displaystyle z=\frac{y}{y^n}\) より \(y=zy^n\) と出来ます。
また,合成関数の微分法から \(z\) を微分し,\(dy/dz\) について解くと \[\frac{dz}{dx}=(1-n)y^{-n}\frac{dy}{dx}\] \[\frac{dy}{dx}=\frac{y^n}{1-n}\frac{dz}{dx}\] となり,\(dy/dz,z\) を方程式に代入すると \[\frac{y^n}{1-n}\frac{dz}{dx}+p(x)zy^n+q(x)y^n=0\] \[\frac{dz}{dx}+(1-n)p(x)z+(1-n)q(x)=0\] これは \(z\) に対する線形1階微分方程式となるので解くことが出来るようになります。
ここで,線形1階微分方程式の解は \[ y=\exp \left( – \int p(x)dx \right) \left[ -\int q(x)\exp \left( \int p(x)dx \right) dx + C \right]\] であったのでした。
一般解を覚えている方はあまりいないかと思われますが,微分方程式は実際に解ければ実用上はあまり問題ないので,ここでは流れを追えれば大丈夫です
これを用いて \(p(x),q(x)\) を \((1-n)p(x)\),\((1-n)q(x)\) と取り直すと \(z\) に対する微分方程式の解は \[z=\exp \left( – \int (1-n)p(x)dx \right) \left[ -\int (1-n)q(x)\exp \left( \int (1-n)p(x)dx \right) dx + C \right]\] となります。
\(z\) は自分で置いた文字であり \(z=y^{1-n}\) であったので,結局ベルヌーイ型の微分方程式の一般解は \[y^{1-n}=\exp \left( – \int (1-n)p(x)dx \right) \left[ -\int (1-n)q(x)\exp \left( \int (1-n)p(x)dx \right) dx + C \right]\] と求めることができます。
ベルヌーイ型の微分方程式は \(z=y^{1-n}\) という変数変換をし,1階線形微分方程式を解く
例題
以上の流れがベルヌーイ型微分方程式を解く際の流れになりますが,抽象度が高く難しかったと思われます。以下で実際に解いて解き方を確認しましょう。
次のベルヌーイ型微分方程式を解くことを考える。\[\frac{dy}{dx}+\frac{y}{x}+(3x-1)y^4=0\] (1) 適切な変数変換を行うことで線形1階微分方程式に変形せよ。
(2) (1)の線形1階微分方程式を定数変化法を用いて解け。
(3) 変数をもとに戻すことで上のベルヌーイ型微分方程式の解を求めよ。ただし解は $y= \cdots$ の形にしなくて良い。
【解答・解説】
(1) 元の微分方程式は \(n=4\) のベルヌーイ型の微分方程式なので \(z=y^{1-4}=y^{-3}\) と変数変換する。このとき \(y=zy^4\) であり,また \(z\) の微分は \[\frac{dz}{dx}=-3y^{-4}\frac{dy}{dx}\] \(dy/dx\) について解くと \[\frac{dy}{dx}=-\frac{1}{3}y^4 \frac{dz}{dx}\] \(y=zy^4\) と \(\displaystyle \frac{dy}{dx}\) を方程式に代入すると \[-\frac{1}{3}y^4 \frac{dz}{dx}+\frac{z}{x}y^4+(3x-1)y^4=0\] \(y^4\) で割ると \[-\frac{1}{3} \frac{dz}{dx}+\frac{z}{x}+(3x-1)=0\] となり,\(z\) に関する線形1階微分方程式を得る。
(2) \(z\) に関する線形1階微分方程式 \[-\frac{1}{3} \frac{dz}{dx}+\frac{z}{x}+(3x-1)=0\] を定数変化法で解く。斉次方程式 \[-\frac{1}{3} \frac{dz}{dx}+\frac{z}{x}=0\] は変数分離法を使うと,その解は \(A\) は定数として \[z=Ax^3\] となる。ここで \(A\) を \(x\) の関数 \(A(x)\) と見ると \(z=A(x)x^3\) より \[\frac{dz}{dx}=A'(x)x^3+3x^2A(x)\] もとの微分方程式に代入すると \[A'(x)=\frac{3x-9}{x^3}\] よって \[A(x)=-\frac{3}{x}-\frac{9}{x^2}+C \quad (C: \text{const})\] これより \[\begin{align} z &= A(x)x^3 \\ &=-3x^2-9x+Cx^3 \end{align}\]
(3) \(z=y^{-3}\) と変数変換していたので,元に戻すと,ベルヌーイ型の微分方程式 \[\frac{dy}{dx}+\frac{y}{x}+(3x-1)y^4=0\] の解は \[y^{-3}=-3x^2-9x+Cx^3 \] と求まる。
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