定数変化法を使って1階線形微分方程式を解く方法を紹介

1階線形微分方程式の解き方をわかりやすく紹介!

定数変化法を使って1階線形微分方程式 \[ \frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\] を解く方法を紹介します。

あんとら

ステップごとの解説と例題も紹介しているので是非最後まで見てください

この記事でわかること
  • 1階線形微分方程式の例
  • 1階線形微分方程式の詳しい解き方
  • 1階線形微分方程式の例題とその答え
目次

1階線形微分方程式の例

関数 \(p(x),q(x)\) に対し

\[ \frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\]

の形で表される微分方程式を「1階線形微分方程式」といいます。

1階線形微分方程式の例

例1 \[ \frac{dy}{dx}+2xy+1+x^2=0 \quad (p(x)=2x, \;q(x)=1+x^2)\]

例2 \[ \frac{dy}{dx}+\frac{e^x}{x} y+\sin x=0 \quad (p(x)=\frac{e^x}{x}, \;q(x)= \sin x)\]

例3 \[ \frac{dy}{dx}+(x+3)y = -3x^3 \quad (p(x)=x+3, \;q(x)=3x^3)\]

形としては変数分離形の微分方程式 \[\frac{dy}{dx}+p(x)Y(y)=0\] と似ています。

あんとら

\(Y(y)=y\) にしたもの,かつ,上の式に適当な関数 \(q(x)\) を足し合わせたものといえそうです

1階線形微分方程式の解を導出する

1階線形微分方程式 \[ \frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\] を解くことを考えます。

ですが,この形は簡単に解ける形(=変数分離形)ではありません。

あんとら

でも解の形は変数分離形のソレと似ている気がする

そこで一旦,\(q(x)=0\) とし,変数分離系の方程式 \[\frac{dz}{dx}+p(x)z=0\] を考えます1

元の方程式とは別物であることを示すために変数を \(y\) を \(z\) に変えました。

定数変化法を使って解く方法

まず,上の変数分離形の方程式を解いてみましょう。

これは簡単に解くことが出来て,その解は

\[ z(x) = A \exp \left( – \int p(x)dx \right)\]

となります。

あんとら

ここの詳しい過程が知りたい方はこちらをご覧ください。

上述の通り,非斉次方程式の解は斉次方程式の解に似ている気がします。そこで

「定数 \(A\) の部分が何らかの関数だったら上手いこと辻褄が合いそう」

と考え,定数 \(A\) を関数 \(A(x)\) として計算して,解を求めます。このような計算方法を定数変化法といいます。

定数変化法を用いて元の微分方程式を解く

定数変化法を用いて微分方程式を解いてみましょう。

今,定数 \(A\) を関数 \(A(x)\) と予想したので,この予想解 \[ y = A(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right)\] を元の微分方程式に代入するために微分します。

合成関数の微分法により微分は \[ \begin{align} \frac{dy}{dx} &= A'(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right) -p(x)A(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right) \\ &=A'(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right) \color{red}{-p(x)y} \end{align}\] となります。

ここで微分と積分の関係 \[\frac{d}{dx}\int p(x)dx =p(x)\] を使いました。

これを,元の微分方程式 \[ \frac{dy}{dx}\color{red}{+p(x)y}+q(x)=0\] に代入すると赤で示した \(\color{red}{p(x)y}\) の項が上手いこと消えて \[ A'(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right)+q(x)=0\] \[ A'(x) = -q(x) \exp \left( \int p(x)dx \right)\] となります。積分すると \[ A(x)= -\int q(x)\exp \left( \int p(x)dx \right) dx + C\] となりこれが求める \(A(x)\) になります。

予想した解は\[ y = A(x) \exp \left( – \int p(x)dx \right)\]であったので,これに \(A(x)\) を代入すると \[ y=\exp \left( – \int p(x)dx \right) \left[ -\int q(x)\exp \left( \int p(x)dx \right) dx + C \right]\] となり,これが1階線形微分方程式の解になります。

1階線形微分方程式の解

\[ \frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\] の一般解は \[ y=\exp \left( – \int p(x)dx \right) \left[ -\int q(x)\exp \left( \int p(x)dx \right) dx + C \right]\] である

定数変化法を用いた微分方程式の例題

定数変化法を使って解く例として次の問題を考えます。

例題

微分方程式 \[\frac{dy}{dx}-2y=2e^{-2x}\] を解きなさい。

定数変化法の導出過程はとても煩雑でしたが,実際には要所要所で積分をしながら求めるのでそこまで煩雑にはなりません。

例題の解答

実際にステップを追って解いてみましょう。

例題の解き方4ステップ
STEP
変数分離形の形を考えて解く

\(2e^{-2x}\) の項は一旦考えず0とした微分方程式 \(z’-2z=0\) の解を考えます。

これは簡単に解けるので解くと \[z=Ae^{2x} \quad (A:\text{const})\] となります。

STEP
定数部分を変化させた解を考える

定数 \(A\) を関数に変化させたものが解であると考えます。すなわち \[y=A(x)e^{2x}\] であると仮定します。

STEP
関数 A(x) の微分形 A'(x) を求める

元の微分方程式に代入するために,\(y\) を微分します。微分すると \[\frac{dy}{dx}=A'(x)e^{2x}+2A(x)e^{2x}\] であり,これと \(y=A(x)e^{2x}\) を元の微分方程式に代入すると \[A'(x)e^{2x}+2A(x)e^{2x}-2A(x)e^{2x}=2e^{-2x}\] \[A'(x)e^{2x}=2e^{-2x}\] となり,\(A(x)\) の微分形を得ることが出来ました。

STEP
関数 A(x) を求め,代入する

STEP3 より \[A'(x)=2 e^{-4x}\] であるので,積分すると \[ \int A'(x)dx=2 \int e^{-4x}dx\] \[ A(x)=-\frac{1}{2}e^{-4x}+C\] これより解は \[ y=\left(-\frac{1}{2}e^{-4x}+C \right)e^{2x}\] と求まりました。

まとめ

この記事では

  • 1階線形微分方程式の例
  • 1階線形微分方程式の解き方

について紹介しました。参考になれば幸いです!

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  1. ここで,簡単のために考えた微分方程式 \[ \frac{dz}{dx}+p(x)z=0\] を斉次方程式とよび,もとの1階線形微分方程式 \[ \frac{dy}{dx}+p(x)y+q(x)=0\] を非斉次方程式といいます。 ↩︎
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