1階線形微分方程式の応用例:RL回路の電流変化

1階線形微分方程式の応用例としてRL回路の電流変化の微分方程式 \[L\frac{dI(t)}{dt}+RI(t)=V(t)\] の解き方をまとめます。

目次

RL回路の電流変化

微分方程式を使うと次のような問題を考えることも出来ます。

設定
  • 上の図のような回路の電流変化 $I(t)$ を求める
  • 電圧は$V$,抵抗は$R$,コイルのインダクタンスは$L$

このとき,キルヒホッフ則から流れる電流は \[
L\frac{dI(t)}{dt}+RI(t)=V(t)
\] と書けます。このとき $V(t)$ が $V_0$ (直流)か $V_0 \cos \omega t$ (交流)かによって回路の電流のふるまいは異なります。どのようになるか調べてみましょう。

定数変化法を用いた微分方程式の解

この微分方程式は交流,直流に関わらず非斉次の1階線形微分方程式として考えることが出来ます。従って,まず$V(t)$の具体的な内容は考えずに斉次方程式 \[
L\frac{dI(t)}{dt}+RI(t)=0
\] の解を考えましょう。これは変数分離形方程式として扱うことが出来て,式を整理すると \[\frac{1}{I(t)}\frac{dI(t)}{dt}=-\frac{R}{L}\] 積分すると \[\int \frac{1}{I(t)}\frac{dI(t)}{dt} dt=-\frac{R}{L}\int dt\] これより $A$ を定数として \[\log |I(t)| +A =-\frac{R}{L}t\] となるので,斉次方程式の解は \[I(t)=Ae^{-\frac{R}{L}t}\] と求まります。

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いま,定数を $A(t)$ と $t$ の関数として見てあげると \[\frac{dI(t)}{dt}=A'(t)e^{-\frac{R}{L}t}-\frac{RA(t)}{L}e^{-\frac{R}{L}t}\] となるのでこれを非斉次方程式に代入すると \[A'(t)=\frac{V(t)}{L}e^{\frac{R}{L}t}\] と出来ますね。このときの $V(t)$ を$V_0$ (直流),$V_0 \cos \omega t$ (交流)としてそれぞれ調べてみましょう。

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直流の場合

直流のとき $V(t)=V_0$ と出来るので $A$ の微分方程式は \[
A'(t)=\frac{V_0}{L}e^{\frac{R}{L}t}
\] となります。これは簡単に解くことが出来るので積分すると,$C_0$ を定数として \[
A(t)=\int \frac{V_0}{L}e^{\frac{R}{L}t} dt=\frac{V_0}{R}e^{\frac{R}{L}t}+C_0
\] となり,従って \[I(t)=\left(\frac{V_0}{R}e^{\frac{R}{L}t}+C_0 \right) e^{-\frac{R}{L}t}\] すなわち

\[I(t) = \frac{V_0}{R} + C e^{-\frac{R}{L}t} \]

がわかります。$t \to \infty$ で $e^{-\frac{R}{L}t} \to 0$ となり $\displaystyle I(\infty)=\frac{V_0}{R}$ となりますから,これは直感にも一致しますね。

交流の場合

交流回路の場合は $V(t)=V_0 \cos \omega t$ と書くことが出来ます。従ってこれの積分 \[A(t) =\frac{V_0}{L} \int e^{\frac{R}{L}t} \cos \omega t dt\] を求めれば良く,実際この積分は部分積分で求まり,以下のように $A(t)$ が求まります。\[A(t)=\frac{V_0}{L} \left\{ \frac{L^2}{R^2+L^2 \omega^2}e^{\frac{R}{L}t} \left(\frac{R}{L}\cos \omega t +\omega \sin \omega t \right)+C_1 \right\}\] ここで $C_1$ は定数です。以上の結果から,交流のRL回路では \[I(t)=\frac{V_0}{L} \left\{ \frac{L^2}{R^2+L^2 \omega^2}e^{\frac{R}{L}t} \left(\frac{R}{L}\cos \omega t +\omega \sin \omega t \right)+C_1 \right\}e^{-\frac{R}{L}t}\] すなわち

\[I(t)=C_1 e^{-\frac{R}{L}t}+ \frac{LV_0}{R^2+L^2 \omega^2}\left(\frac{R}{L}\cos \omega t +\omega \sin \omega t \right)\]

となることがわかります。

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