空気抵抗がある場合の斜方投射の計算方法【微分方程式を解く】

空気抵抗がある場合の斜方投射の計算方法と軌道の変化について紹介します。

この記事でわかること

  • 空気抵抗がある場合の斜方投射の運動方程式
  • 水平成分,鉛直成分における物体の変位の式
  • 空気抵抗がある場合の運動方程式(微分方程式)の解き方
あわせて読みたい
減衰振動を微分方程式で解く方法をわかりやすく紹介 振動現象の1つである減衰振動について,運動方程式(微分方程式)とその解法について紹介します。
目次

空気抵抗がある場合の斜方投射

空気抵抗がある場合の斜方投射を考えるにあたって,次のような問題を考えます。

問題

次のように条件を設定する。

  • \(xy\) 座標系で考える。
  • 時刻 \(t=0\) に質量 \(m\) の球を原点から初速度 \(v_0\),地面となす角 \(\theta\) で投射する。
  • 重力加速度を \(g\) とする。
  • 球には速度方向と反対方向に速度成分に比例した抵抗力 \(m \gamma v\) がはたらく。

このとき

(1) $x,y$ 軸それぞれについて質点の運動方程式を立て,これを解きなさい。

(2) 曲線はどのような軌道を描くか,概形を図示せよ。

空気抵抗がある場合の力の分解

空気抵抗がある場合でも,斜方投射において軸の方向に要素を分解するという方針は変わりません。

ここでも \(x\) 軸方向,\(y\) 軸方向にわけて考えます。

空気抵抗を無視するタイプの斜方投射に比べ,上の図のように \(x,y\) 軸の各々に空気抵抗がかかっていることがわかります。

x 軸方向の運動方程式を解く

\(x\) 軸方向の運動方程式を考えます。加速度は \(\displaystyle \frac{d^2x}{dt^2}\) で書くことも出来ますが,ここでは \(\displaystyle \frac{dv_x}{dt}\) で考えて運動方程式を書くと後で楽が出来るので \(v\) に関する式を立てます。

【解答】
(1) 水平方向には \(v_x\) に比例した抵抗力が働くので \(x\) 軸方向の運動方程式は \[m \frac{dv_x}{dt}=-m\gamma v_x\] と書くことが出来る。

あわせて読みたい
変数分離形微分方程式のよくわかる解き方と例題 微分方程式の1つである「変数分離形微分方程式」の解き方を紹介します。

この微分方程式を解いてみましょう。

辺々を \(m\) で割ると \[\frac{dv_x}{dt}=-\gamma v_x \] すなわち \[\frac{dv_x}{v_x}=-\gamma dt\] より,辺々積分すると解を求めることが出来る。

積分すると(以下 \(C_0,C_1,\cdots\) は定数) \[\int\frac{dv_x}{v_x}=-\int\gamma dt\] \[\log |v_x|=-\gamma t +C_0\] これより \[v_x =C_1 e^{-\gamma t}\] \(x\) 軸方向の初速度が \(\left. v_x \right|_{t=0}=v_0 \cos \theta\) であることに注意して \(C_1\) を求めると \[v_x=e^{-\gamma t}v_0 \cos \theta \] これを \(t\) で更に積分すると \[\begin{align} x&=\int v_x dt=\int e^{-\gamma t}v_0 \cos \theta dt \\ &=v_0 \cos \theta \int e^{-\gamma t} dt \\&= -\frac{v_0 }{\gamma}\cos \theta \; e^{-\gamma t}+C_2\end{align}\] ここで,\(t=0\) のとき質点は原点にある,すなわち \(\left. x \right|_{t=0}=0\) であるので \( C_2=v_0\cos \theta /\gamma\) がわかる。

これより,\(x\) 軸方向の変位の式は \[x=\frac{v_0 }{\gamma}\cos \theta (1-e^{-\gamma t})\] となる。

y 軸方向の運動方程式を解く

\(y\) 軸の運動方程式も同様に考えて解いてみましょう。

【解答続き】
\(y\) 軸には球の進行方向とは反対向きに重力 \(mg\) と抵抗力 \(m \gamma v_y\) が働くので \(x\) 軸と同様に考えると運動方程式は \[m\frac{dv_y}{dt}=-mg-m\gamma v_y\] と書くことが出来る。

これも定数分離型の微分方程式の形なので,両辺 \(m\) で割って整理すると \[\frac{dv_y}{dt}=-g-\gamma v_y \\ \frac{dv_y}{g+\gamma v_y}=-dt\] 辺々積分すると \[\int\frac{dv_y}{g+\gamma v_y}=-\int dt \\ \log |g+ \gamma v_y|=-\gamma t +C_3\] これより \(\log\) を外して \(v_y\) について解くと \[v_y=C_4 e^{-\gamma t}-\frac{g}{\gamma}\] \(y\) 軸方向の初速度が \(\left. v_y \right|_{t=0}=v_0 \sin \theta\) であることを用いると \[C_4=v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma}\] であるので,代入して \(v_y\) は \[v_y=\left(v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right)e^{-\gamma t}-\frac{g}{\gamma}\] であることがわかる。

また,これを積分して \(y\) を求めると \[\begin{align}y&=\int v_y dt \\ &=\int \left[ \left(v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right)e^{-\gamma t}-\frac{g}{\gamma} \right] dt \\ &= -\frac{1}{\gamma} \left( v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right)e^{-\gamma t}-\frac{g}{\gamma}t +C_5\end{align}\] \(t=0\) のとき,\(y=0\) であることから \(C_5\) を求め,代入して整理すると \[C_5=\frac{1}{\gamma}\left( v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right)\] より \(y\) の式 \[y=\frac{1}{\gamma}\left( v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right) (1-e^{-\gamma t}) -\frac{g}{\gamma}t\] を得る。

曲線はどういう軌道を描く?

【解答続き】
(2) (1) の結果から \[\begin{cases}\displaystyle x=\frac{v_0 }{\gamma}\cos \theta (1-e^{-\gamma t}) \\\displaystyle y=\frac{1}{\gamma}\left( v_0 \sin \theta +\frac{g}{\gamma} \right) (1-e^{-\gamma t})-\frac{g}{\gamma}t \end{cases}\] である。これを図示すると次のようになる。

空気抵抗がないときの放物線に比べ,落下時に軌道が歪になることがわかりますね。

【訂正(2025.08.28追記)】
記事中では
$$\displaystyle x=\frac{v_0 }{\gamma}\cos \theta (1-e^{\gamma t}) $$となっていましたが,正しくは$$\displaystyle x=\frac{v_0 }{\gamma}\cos \theta (1-e^{-\gamma t})$$でした。読者の方からのご指摘により上記の通り修正しました。

あわせて読みたい
大学物理のおすすめ参考書シリーズ5選【新入生・初学者向け】 初学者にも見やすくわかりやすい大学物理学のおすすめ参考書を6つ紹介します。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次