【例題あり】電場の定義と点電荷のつくる電場の計算方法

電場の定義と点電荷のつくる電場の計算方法についてまとめました。

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目次

「場」の導入:電場(電界)

なぜ「場」を考えるのか?

クーロンの法則は,「遠隔作用(えんかくさよう)」の考え方に基づいています。つまり,電荷 $q_2$ が,離れた場所にある $q_1$ に(何も介さずに)直接力を及ぼす,という考え方です。

しかし,電磁気学が発展するにつれて,この考え方では説明が難しい現象(特に,力の伝達に時間がかかることや,電磁波)が出てきました。

そこで,「近接作用」という考え方が導入されます。

近接作用の考え方

  • 電荷 $q_2$ は,まず自分の周囲の空間に「何か」を作る。
  • その「何か」が空間を伝わっていき,位置 $\boldsymbol{r}_1$ に到達する。
  • 位置 $\boldsymbol{r}_1$ に置かれた電荷 $q_1$ は,その場所にある「何か」によって力を受ける。

この「何か」,つまり電荷がその周囲の空間に作る「力を及ぼす性質を持った空間そのもの」を「場」 と呼びます。

静電力(クーロン力)の源となる場を,特に「電場」または「電界」と呼びます。

電場の定義

電場 $\boldsymbol{E}$ は,以下のように定義されます。

電場の定義

ある点 $\boldsymbol{r}$ に,大きさ $q_0$ の「試験電荷」(そこに置いても他の電荷の分布に影響を与えない,仮想的な小さな電荷)を置いたとき,その $q_0$ が受ける静電力 $\boldsymbol{F}$ を用いて,$$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \frac{\boldsymbol{F}(\boldsymbol{r})}{q_0} $$ と定義される。


少し難しい概念ですが,要点は次のように整理されます。

電場の基本事項

  • 電場は,「その場所に単位電荷($+1 \, \mathrm{C}$ の電荷)を置いたときに受ける力」に相当します。
  • 電場は力 $\boldsymbol{F}$(ベクトル)をスカラー $q_0$ で割ったものなので,ベクトル量です。
  • 空間の各点 $\boldsymbol{r}$ ごとに異なるベクトル $\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})$ が定まるため,電場は「ベクトル場」の一種です。
  • 単位は,力の単位 $\mathrm{N}$ を電荷の単位 $\mathrm{C}$ で割ったもの,すなわち $\mathrm{N/C}$ となります。
あんとら

ベクトル解析における「勾配(grad)」や「発散(div)」,「回転(rot)」といった操作は,この電場のようなベクトル場に対して行われます。


この定義 $\boldsymbol{E} = \boldsymbol{F} / q_0$ を変形すれば,電場 $\boldsymbol{E}$ がわかっている場所に電荷 $q$ を置いたとき,その電荷 $q$ が受ける力 $\boldsymbol{F}$ は,$$ \boldsymbol{F} = q \boldsymbol{E} $$ と簡単に計算できることがわかります。

点電荷が作る電場

では,位置 $\boldsymbol{r}’$ にある点電荷 $Q$ が,位置 $\boldsymbol{r}$ に作る電場 $\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})$ を求めてみましょう。

電場の定義に従い,位置 $\boldsymbol{r}$ に試験電荷 $q_0$ を置きます。$q_0$ が $Q$ から受ける力 $\boldsymbol{F}$ は,クーロンの法則より,$$ \boldsymbol{F} = \frac{q_0 Q}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’|^3} $$ 電場の定義 $\boldsymbol{E} = \boldsymbol{F} / q_0$ より,$$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \frac{1}{q_0} \left( \frac{q_0 Q}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’|^3} \right) $$ すなわち
$$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’}{|\boldsymbol{r} – \boldsymbol{r}’|^3} $$ となります。これが点電荷 $Q$ が作る電場の基本式です。

特に,原点 $(0,0,0)$ に $Q$ があり,位置 $\boldsymbol{r}$ での電場を求める場合は,$\boldsymbol{r}’ = \boldsymbol{0}$ となり,$$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{\boldsymbol{r}}{|\boldsymbol{r}|^3} = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{1}{r^2} \frac{\boldsymbol{r}}{r} $$(ここで $r = |\boldsymbol{r}|$)となります。

$\boldsymbol{e}_r = \boldsymbol{r} / r$ は,原点から $\boldsymbol{r}$ へ向かう単位ベクトル(動径方向の単位ベクトル)なので,$$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \frac{1}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{Q}{r^2} \boldsymbol{e}_r $$ とも書けますね。

この式から,

  • $Q > 0$ (正電荷)なら,電場 $\boldsymbol{E}$ は電荷から湧き出す向き($\boldsymbol{e}_r$ と同方向
  • $Q < 0$ (負電荷)なら,電場 $\boldsymbol{E}$ は電荷に吸い込まれる向き($\boldsymbol{e}_r$ と逆方向

であることがわかります。

電場の重ね合わせの原理

クーロン力で重ね合わせの原理が成り立ったのと同様に,電場についても重ね合わせの原理が成り立ちます。

複数の点電荷 $Q_1, Q_2, \dots$ がそれぞれ $\boldsymbol{E}1, \boldsymbol{E}_2, \dots$ という電場をある点 $\boldsymbol{r}$ に作るとき,その点での合成電場 $\boldsymbol{E}$ は, $$ \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) = \boldsymbol{E}_1(\boldsymbol{r}) + \boldsymbol{E}_2(\boldsymbol{r}) + \dots = \sum_{i} \boldsymbol{E}_i(\boldsymbol{r}) $$ というベクトル和で与えられます。

例題

例題1

真空中の原点 $O(0, 0, 0)$ に点電荷 $Q = +2.0 \times 10^{-8} \, \mathrm{C}$ が置かれている。クーロンの法則の定数を $k_0 = 9.0 \times 10^9 \, \mathrm{N \cdot m^2 / C^2}$ として計算せよ。

(1) 点 $P(1.0, 0, 0)$ [m] における電場の向きと大きさ $E_P$ を求めよ。

(2) 点 $P$ に点電荷 $q = -3.0 \times 10^{-9} \, \mathrm{C}$ を置いた。$q$ が受ける力の向きと大きさ $F$ を求めよ。

(3) 点 $R(0, 2.0, 0)$ [m] における電場の向きと大きさ $E_R$ を求めよ。

あんとら

(1) 点電荷 $Q$ が距離 $r$ の点に作る電場の大きさは $E = k_0 |Q| / r^2$ です。向きは $Q$ の符号で決まります。
(2) 電場 $\boldsymbol{E}$ がわかれば,電荷 $q$ が受ける力は $\boldsymbol{F} = q \boldsymbol{E}$ で計算できます。

【解答】
(1) 原点の $Q = +2.0 \times 10^{-8} \, \mathrm{C}$ (正電荷)から点 $P(1.0, 0, 0)$ までの距離は $r_P = 1.0 \, \mathrm{m}$ である。

$Q > 0$ なので,電場は $Q$ から湧き出す向き,すなわち $P$ 点では $+x$ 方向である。大きさ $E_P$ は,$$\begin{align} E_P &= k_0 \frac{|Q|}{r_P^2} = (9.0 \times 10^9) \times \frac{2.0 \times 10^{-8}}{(1.0)^2} \\
&= 18 \times 10^1 \\
&=\color{red}{ 180 \, \mathrm{N/C}} \end{align}$$ 向きは $+x$ 方向。

(2) 点 $P$ に電荷 $q = -3.0 \times 10^{-9} \, \mathrm{C}$ を置くと,受ける力 $\boldsymbol{F}$ は $\boldsymbol{F} = q \boldsymbol{E}_P$ で計算できる。

$q < 0$(負電荷)なので,力 $\boldsymbol{F}$ の向きは電場 $\boldsymbol{E}_P$ の向き($+x$ 方向)と逆向き,すなわち $-x$ 方向である。

力の大きさ $F$ は,
$$ \begin{align} F &= |q| E_P = (3.0 \times 10^{-9}) \times (180) \\
& = 540 \times 10^{-9} \\
&= \color{red}{5.4 \times 10^{-7} \, \mathrm{N} }\end{align}$$ 向きは $-x$ 方向。

(3) 原点の $Q$ から点 $R(0, 2.0, 0)$ までの距離は $r_R = 2.0 \, \mathrm{m}$ である。

$Q > 0$ なので,電場は $Q$ から湧き出す向き,すなわち $R$ 点では $+y$ 方向である。

大きさ $E_R$ は,
$$\begin{align} E_R &= k_0 \frac{|Q|}{r_R^2} \\
&= (9.0 \times 10^9) \times \frac{2.0 \times 10^{-8}}{(2.0)^2} \\
&= (9.0 \times 10^9) \times \frac{2.0 \times 10^{-8}}{4.0} \\
&= 4.5 \times 10^1 \\
&=\color{red}{ 45 \, \mathrm{N/C} }\end{align}$$ 向きは $+y$ 方向。

例題2

前の記事と同様の系($xy$ 平面上の $A(0, a)$ に $+q$,$B(-a, 0)$ に $+2q$,$C(a, 0)$ に $+2q$)について,原点 $O(0, 0)$ における電場 $\boldsymbol{E}_O$ の大きさと向きを求めよ。真空の誘電率を $\varepsilon_0$ とする。

あんとら

電場の重ね合わせの原理 $\boldsymbol{E} = \sum \boldsymbol{E}_i$ を使います。原点Oに $+1 \, \mathrm{C}$ の試験電荷を置いたと仮定して,各電荷($q_A, q_B, q_C$)から受ける力を計算(ベクトル和)することと同じです。

【解答】
原点 $O$ における電場 $\boldsymbol{E}_O$ は,電荷 $q_A, q_B, q_C$ がそれぞれ原点に作る電場 $\boldsymbol{E}_A, \boldsymbol{E}_B, \boldsymbol{E}_C$ のベクトル和(重ね合わせ)である。
$$ \boldsymbol{E}_O = \boldsymbol{E}_A + \boldsymbol{E}_B + \boldsymbol{E}_C $$
(1) $\boldsymbol{E}_A$ ($q_A = +q$ が $O$ に作る電場) について,$A(0, a)$ から $O(0, 0)$ までの距離は $a$。$q_A > 0$ なので,電場は $A$ から湧き出す向き,すなわち $O$ 点では $-y$ 方向である。

大きさは $$E_A = \frac{1}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{|+q|}{a^2} = \frac{q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}$$ よって $$\boldsymbol{E}_A = \left( 0, – \frac{q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2} \right)$$

(2) $\boldsymbol{E}_B$ ($q_B = +2q$ が $O$ に作る電場) について $B(-a, 0)$ から $O(0, 0)$ までの距離は $a$。$q_B > 0$ なので,電場は $B$ から湧き出す向き,すなわち $O$ 点では $+x$ 方向である。

大きさは $$E_B = \frac{1}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{|+2q|}{a^2} = \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}$$ よって $$\boldsymbol{E}_B = \left( \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}, 0 \right)$$

(3) $\boldsymbol{E}_C$ ($q_C = +2q$ が $O$ に作る電場) について $C(a, 0)$ から $O(0, 0)$ までの距離は $a$。$q_C > 0$ なので,電場は $C$ から湧き出す向き,すなわち $O$ 点では $-x$ 方向である。

大きさは $$E_C = \frac{1}{4 \pi \varepsilon_0} \frac{|+2q|}{a^2} = \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}$$ よって $$\boldsymbol{E}_C = \left( – \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}, 0 \right)$$

以上より合成電場 $\boldsymbol{E}_O$ を計算すると $$ \begin{align}\boldsymbol{E}_O &= \boldsymbol{E}_A + \boldsymbol{E}_B + \boldsymbol{E}_C \\
& = \left( 0, – \frac{q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2} \right) + \left( \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}, 0 \right) + \left( – \frac{2q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}, 0 \right) \end{align}$$
$x$ 成分は $\boldsymbol{E}_B$ と $\boldsymbol{E}_C$ が互いに打ち消し合う。よって $$ \boldsymbol{E}_O = \left( 0, – \frac{q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2} \right) $$ 大きさは $$E_O = \frac{q}{4 \pi \varepsilon_0 a^2}$$ 向きは $-y$ 方向。

あんとら

これは前ページで求めた力 $\boldsymbol{F} = (0, \frac{q^2}{4 \pi \varepsilon_0 a^2})$ を $\boldsymbol{F} = Q \boldsymbol{E}$ の関係($Q = -q$)で $\boldsymbol{E}_O = \boldsymbol{F} / Q$ として求めた結果と一致します

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